スモウペイ関連で逮捕・書類送検、罪の重さは
スモウペイの役員2名は常習賭博ほう助の疑いが持たれ、逮捕されています。
そして顧客18名(報道機関によっては21名)は単純賭博罪で書類送検されていますので、今後立件されるかどうかが判断されます。
常習賭博ほう助 | 単純賭博罪 |
|
|
常習賭博ほう助
今回、スモウペイの役員が逮捕された常習賭博ほう助罪は、全国でも初の適用となります。
スモウペイは登録がないまま国内の者を相手に送金の勧誘・送金をした銀行法の違反にも問われる可能性があり、銀行法4条1項違反として、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金に処し、またはこれを併科されることになる(銀行法61条1号)可能性があります。
さらに、賭博罪・賭博場開帳罪の共犯にも該当する可能性もあります。
幇助罪は正犯となる者の従犯として扱われることが多く、従犯として扱われた場合は正犯が受ける刑罰の重さよりも軽い範囲で刑罰の重さが決められることになります。意図的に共犯を行う意思があったとされた場合は共同正犯と扱われる可能性もあり、その場合はさらに刑罰が重くなります。
正犯は、この場合オンラインカジノ会社となるわけですが、海外のオンラインカジノが正式なライセンス手続きをもって運営されており、犯罪行為と認められることはまずありえません。
今回の逮捕は、正犯がいない状態で共犯・従犯だけが逮捕され、幇助犯(刑法第62条第1項)が適用される異例の事態です。
法の範囲を超えて警察が今回の逮捕に踏み切ったのは、やはりスモウペイが実質的に日本で営業していた部分が大きいものと思われます。
単純賭博罪
スモウペイを利用してオンラインカジノをプレイしたとされる18~21名は、単純賭博罪の適用がされるかどうかの判断待ちとなります。
単純賭博罪は、ようは一度でも金銭を賭けて賭博を行ったものに五十万円以下の罰金又は科料に処するとされるもので、一時の娯楽に供するものを賭けたにとどまるときは適用されないとされています。
”一時の娯楽に供するもの”には、ジュースや食事代金などが含まれていますが、判例によると金銭を直接的に賭けている場合は、例え少額でも一時娯楽としては認められていません。
スモウペイ側が保有していた顧客データからの入金出金のやり取り、そしてオンラインカジノ側がこのやり取りの証拠となるデータを提出した場合に、立件が可能かどうかを判断されると思われます。検察側が証拠を集められるかが立件の第一条件となるわけです。
しかしスモウペイ側が素直にデータを提出した場合、今回逮捕された2名の役員の罪はほぼほぼ確定し、スモウペイ自体も信用を失墜させることとなるため実質的に終焉を迎えます。
そうならないように顧問弁護士を交えて対策する可能性が高い為、先行きは本当に不透明です。
ちなみに単純賭博罪が適用された場合、 50万円以下の罰金刑か、科料「1,000円以上10,000円未満」の金銭刑罰のいずれかが科されます。
単純賭博罪は常習賭博罪とは分けられており、逮捕されたとしても懲役刑などの拘禁刑が下されることはなく、初犯であれば微罪処分・不起訴処分を獲得する事も可能とされています。
オンラインカジノで単純賭博罪が適用され検挙された人数は次のような推移となっています。
年度 | 検挙件数 | 人数 |
2018年 | 13件 | 70人 |
2019年 | 18件 | 152人 |
2020年 | 16件 | 121人 |
2021年 | 16件 | 127人 |
2022年 | 10件 | 59人 |
しかしこれまでの検挙は「店舗型」と呼ばれる、お店のパソコンなどでオンラインカジノをプレイした人たちが対象となっており、いわゆる闇カジノの顧客がほとんどでした。今回は警視庁は自宅からアクセスできる「無店舗型」の客を書類送検した事で、今後は適用される範囲が広がる可能性があります。
今回書類送検されたのは、40万人いたとされるスモウペイ利用者の中のわずか一握り。
利用者すべて検挙するのは実質的に不可能と考えられており、ここから逮捕者が拡大する可能性は非常に小さいと考えられます。
スモウペイ逮捕事件のその後
1.スモウペイ関連会社の従業員が逮捕
スモウペイの逮捕劇はその後も続き、27日に関連会社の元従業員で、31~53歳の男女5人も同じ容疑で東京地検に書類送検されました。
そして顧客21名は書類送検されたとの情報も上がってきました。
書類送検になったという事なので、今後彼らは逮捕されないまま証拠の精査が行われます。
有罪になるか無罪になるかは、証拠が集まるかどうかで判断されることになります。
2.スモウペイ運営会社の代表と思われる男性が再逮捕
11月16日の時事通信には、次のような報道が行われていました。
海外のオンラインカジノの決済代行を巡る事件で逮捕、起訴された業者が、自身が実質的に管理する複数の会社の口座に賭け金を振り込ませていたとして、警視庁保安課などは16日までに、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)容疑で、決済代行業者の前田由顕容疑者(42)を再逮捕した。同課は認否を明らかにしていない。
決済代行業者を犯罪収益の隠匿容疑で摘発するのは全国初。
同課によると、前田容疑者は自身が運営する入出金システム「スモウペイ」を通じ、少なくとも2022年2~6月、客から賭け金の入金を約40万回受け、計約200億円を海外のオンラインカジノに送金していた。
同容疑者は入金の際、スモウペイを通じ、自身が実質的に管理する複数の会社の口座に賭け金を振り込ませていた。
この記事を読む限り、「常習賭博ほう助」ではなく「組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)容疑」と、最初のものとは別の容疑によってスモウペイの人間(恐らく運営者)が再逮捕されたこととなります。
”ほう助”で有罪となった場合、3~5年以下の懲役刑(執行猶予が付くかどうかは本人の犯罪歴や逮捕後の態度などで変わります)と50万円以下の罰金刑が適用されるのが一般的でしたが、”組織犯罪処罰法違反”での逮捕となると、次の2つの刑法が関連として挙がってきます。
- 五 刑法第百八十六条第一項(常習賭博)の罪 五年以下の懲役
- 六 刑法第百八十六条第二項(賭博場開張等図利)の罪 三月以上七年以下の懲役
有罪となった場合、ほぼほぼ懲役刑が課される可能性が高いです。
裁判で有利に動く姿勢を見せている事から、有罪判決が出た場合は執行猶予なしの懲役刑となるものと思われます。
オンラインカジノは違法になる?
国内在住者のオンラインカジノプレイは違法判断の可能性大
今回の逮捕は、スモウペイ側が日本で拠点を持って営業していた事で意識的にオンラインカジノの賭博を幇助しており、立件できると判断されたため起きたケースだと思っていいでしょう。
見ようによっては、「悪目立ちしすぎていたためつるし上げを食らった」とも言えるのかもしれません。
しかしそもそも警察・政府は「オンラインカジノは違法である」という認識を持っていますし、以前から警告が出されています。
この事件を皮切りに、国内からのオンカジ利用は違法と判断される可能性が高くなると認識した方がよいでしょう。
こういうのは多数派が正しいとかいう問題ではなく法律の問題になるのですが、世間の目はそういう風潮になると思った方が良さそうです。
ただし、海外在住である日本人のプレイは引き続き国内法の範囲外として認められている事から、
今後当サイトのオンラインカジノ紹介は、海外在住者に対する案内に留める事となります。
日本国内からのプレイは行わないように、十分にご注意ください。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません